IDJJJ3 Creators! 千倉 志野 × ロギール アウテンボーガルト
千倉 志野(ちくらしの)
フォトグラファー
横浜出身。学習院大学文学部ドイツ文学科卒業後、スタジオアシスタントに。2003年、ドイツ・ベルリンへ渡り、2年半の間ドイツ人フォトグラファーAndre RivalとUlrike Schamoniのアシスタントを務める。2006年に帰国後、フリーランスフォトグラファーとしてポートレート撮影を中心に多方面で活躍中。2017年には茅ヶ崎・福島・佐倉の3つの美術館を巡回した「世紀の自転車展」に世界で撮りためた自転車テーマの作品を18点出品。2018年6月、自身初の写真集「PRESENT」を刊行したばかり。
Webサイト:http://shinofoto.net
ロギール アウテンボーガルト(Rogier Uitenboogaart)
手漉き和紙作家・かみこや代表・土佐の匠・高知工科大学客員教授
オランダ出身。製本見習いをしているときに1枚の和紙に出会い来日。日本各地の手漉き和紙工房を視察して1981年より高知県旧伊野町にて原料栽培からの伝統手漉き和紙制作を始める。現在は梼原町にて工房兼ワークショップのできる民宿「かみこや」を運営しながら主に内装・インテリア用手漉き紙、アート作品を制作している。2003年からは西洋の手漉き紙であるコットンペーパーも取り入れ、新しい手漉き和紙の表現にも挑戦している。ワークショップには国内外の初心者からアーティストまでが訪れており、出前ワークショップとして関東やオランダでも多数開催。
Webサイト:http://rogier.jp
- — IDJJJ3(インクでジェット!ジェット!ジェット!3)ではお二人は組んでの参加となりますが、どのような経緯で組むことになったのでしょうか?
- 千倉:今回のグループ展のお話をいただいたとき、ふと「和紙に写真を印刷したい」と思いました。ではフォトグラファーの私が和紙にプリントしたい写真はなんだろうと考えたときに、伝統手漉き和紙を作る人、その和紙が作られる場所、そこにある自然を、その人が漉いた和紙上に表現できたら面白いのではと思いついたのが始まりです。そこから伝統和紙について調べ始めたのですが、原料から全てをその土地で育て、機械や薬品に頼らない伝統和紙を高知県の梼原で作っているロギールさんにたどり着き、この人しかいない!とどうにかロギールさんを口説き、無事今回のコラボが実現しました。笑
- ロギール:もともといろいろなジャンルとのコラボレーションには積極的に取り組んでいきたいと考えていたところに、千倉さんから声を掛けて頂きました。私たちが紙作りで大切にしていることについて直接的に興味を持って頂いていることや、千倉さんの熱い思いに、これは私たちの紙の魅力を引き出す作品ができると思い参加を決めました。
- — 最近は主にどのようなお仕事をされていますか?
- 千倉:普段は広告や雑誌をベースに撮影を行っていますが、それと同時に写真展など作品を発表する場を持つようにもしています。6月には初めての写真集を出版しました。本を一から作るというのは想像以上に大変でしたが、貴重で得難い経験になりました。またトライしたいと思っています。
- ロギール:内装・インテリア用紙の注文制作の他、最近は平面・立体などアート系の制作も増えています。2017年には建築家・隈研吾氏監修の展示会にて部屋全体を手漉き紙で覆って紙の洞窟のようにしたインスタレーションを制作しました。またワークショップは工房・出前両方で開催しており、紙を漉くのが初めての方からプロのアーティストの方まで様々な人が参加しています。一昨年からは毎年出身国オランダでのワークショップを開催しており、大変好評を頂いています。
- — 今回はどのような作品作りをイメージされていますか?
- 千倉:すでに梼原のロギールさんのところへ撮影へ行ってきました。本場の手漉き和紙作りを見るのは今回が初めてだったのですが、実際に紙を漉くシーンだけでなく、紙漉きに至るまでの準備段階の多さと繊細さに驚きました。それに加えて豊かな梼原の自然もしっかりとカメラに収めてきたので、梼原の空気感が観る方にしっかりと伝わる作品にしたいなと考えています。
- ロギール:今回は水・自然・道具・原料・人など和紙にまつわるものが被写体となるので、そういうものが面白く引き立ち、紙との一体感が生まれるように取り組みました。
- — ロギールさんが作られる伝統和紙と千倉さんの写真がどのように組み合わさるのか、楽しみですね!
- よろしくお願いいたします