LIBRARY

わたしたちの視点

*

IDJJJ3 Creators! 筒井 美希、工藤 大貴、白川 桃子

中:筒井 美希(つつい みき)
アートディレクター
武蔵野美術大学デザイン情報学科卒業。書籍や広報誌などのエディトリアルデザインを中心に、グラフィック、ウェブ、コンテンツ、映像、ワークショップなど、媒体やジャンルを問わず幅広いプロジェクトを手がける。著書に企画編集・デザインを行った『なるほどデザイン 目で見て楽しむデザインの新しい本。』(MdN)がある。
Webサイト:https://www.behance.net/tsutsuimd471

左:工藤 大貴(くどう だいき)
グラフィックデザイナー / サービスデザイナー
私立武蔵高等学校卒業 / 武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。プロダクト・Webサービス・アプリケーションなどの新規事業立ち上げや改善プロジェクト、Web・アプリケーションのUIデザイナーを経験したのち、現在は雑誌などのエディトリアルデザイナー。
Webサイト:https://www.behance.net/kudod

右:白川 桃子(しらかわ ももこ)
アートディレクター / デザイナー
徳島県出身。静岡大学教育学部卒業。雑誌やムック、学校案内、教科書、広報誌など、紙媒体・Webを中心に幅広くアートディレクション・デザインを手がける。媒体の特性に合った柔軟なディレクション・デザインを得意とする。
Webサイト:https://www.behance.net/shirakawambcec

— 筒井さん、工藤さん、白川さんは、株式会社コンセントに所属されておりますが、普段はどのような役割でお仕事をされているのでしょうか?
筒井:普段はプリントメディア/デジタルメディア問わず、いろいろなアウトプットのアートディレクションが中心です。書籍を作ったり、セミナーやイベントをしたりと、企画から関わるプロジェクトも増えてきました。
工藤:ウェブサイトやアプリケーションのユーザーインターフェース、雑誌の誌面といった最終的に人の目に触れる部分を中心として、その手前のページやウェブサイト全体の導線設計、そのさらに手前のサービスコンセプトや体験の設計など、様々な仕事をしています。領域が広く浅くなので、肩書としては単に「デザイナー」と名乗ることが多いです。
白川:アートディレクター・デザイナーが肩書きですがあまりそこにとらわれないよう、プロジェクトによって柔軟にお仕事に取り組んでいます。
筒井:この3人は一緒に仕事をすることもありますが、主には社内の部活動つながりです。紙や印刷加工などに関する勉強会のような活動をしています。
白川:筒井さんとはお付き合いが長いですが、工藤くんとはこの部活動のおかげで席にちょっかいを出しにいくまでの仲になりました(笑)。とてもゆるふわな3人組です。
筒井:部活動も大半は面白い印刷加工の情報収集をしながら雑談&お菓子を食べるという感じだしね(笑)。


筒井さんの最近のお仕事:企画編集・執筆・デザインをすべて行った『なるほどデザイン 目で見て楽しむデザインの新しい本。』(MdN)

— ユーザーとの接点が多種多様になり、アートディレクターとしての役割もジャンルを問わず幅広く横断的に関わることが多いと思います。そんな中で筒井さんが大事にされていることはなんでしょうか?
筒井:自分ができることはこれだ、と決めつけず、プロジェクトによって柔軟につくるものや自分の役割を変えることを心がけています。どんなに良いデザインでも知られなければ、使われなければ意味がない。目に見えるモノだけでなく、その周辺の文脈からデザインしたい。そのために、自分が経験したことのないジャンルであっても、必要があれば飛び込める好奇心を大事にしています。

いっぽう、ちょっと矛盾するようですが、横断的に関われば関わるほど「最後に成否を決めるのはクオリティだ」と感じることもあるんです。人間は結局のところ、頭で考えているつもりでも、心で動いているんだと思う。だから戦略や機能がしっかりしているだけでなく、目にする一瞬で心をつかむことに対しても、きちんと粘りたいと思っています。


工藤さんの最近のお仕事 左:株式会社文化放送 ロゴデザイン、ツール類デザイン/右:株式会社THE TREE TIMES ロゴデザイン、ブランディング

— CI・VIなどは事業やブランドの核となる非常に繊細なプロジェクトかと思うのですが、工藤さんが難しく感じたことや、学んだことなど教えていただけますでしょうか?
工藤:CIやVIのプロジェクトでは「言語化」を常に意識しています。ここが最も難しく、心を砕く部分ですね。

言葉を出発点としているのは、そもそも向いている方向が間違っていてはいかに造形として美しくても意味がないと考えているからです。ですので、仕事の最初には必ずクライアントから組織のスタンスやサービスの在り方を丁寧にヒアリングし、調査をし、それを言葉にして認識を合わせてからロゴデザインなどを進めています。

言葉にすることで、ブランドや会社の「想い」のようなエモーショナルな部分を手触りのある指針にできると感じます。これがあるとクライアントやその顧客にも共感を得られますし、デザイナーとしても迷いません。おっしゃる通りに繊細なプロジェクトにはなりますが、逆に言うとここでブランドの核まで踏み込まなければ上滑りしてしまうので、これからもそうした在り方を心がけたいですね。

— 雑誌やムックのご実績を拝見させていただきました。どのご実績も「伝えること」「伝わること」それぞれデザインの意思を感じたのですが、白川さんがデザインをするうえで、大事にしていることはなんでしょうか?
白川:特に大切にしているのは2つ。1つめは何度も検証を繰り返すことです。ムックなど1冊まるっとつくることが多いのですが、ページネーションから構成や細部のデザインまで、伝えたい相手に伝えたいことをベストなカタチで伝えるために破壊と創造を繰り返します。なのでデータと出力紙の量が膨大になり机が散らかっています(笑)。2つめはプロジェクトメンバーを尊重することです。わたしひとりでは何もできませんし、色々な考え・特性をもった人が会社にはたくさんいるので、メンバーひとりひとりの力を集結させて一緒にモノづくりをする感覚でお仕事をしています。チームでつくる方がプロジェクトそのものに深みが増すのと、なにより楽しいかな、と思います。
— 今回はどのような作品作りをイメージされていますか?
筒井:厚みや材質にかかわらず、いろんな素材に印刷できるUVインクジェット印刷の技術が面白いので、質感の違うモチーフを組み合わせた作品を考えています。まだ試行錯誤中ですが、3人ともいろんなモノのディテールを観察することが好きなので、実験感覚で取り組んでいます。
工藤:伝統的な工芸の技に印刷技術で迫ることができないかな、と考えています。方針として「完全な再現・模倣」というよりは、あくまで印刷でしかできない表現、印刷ならではなモチーフを扱えるといいですね。
白川:いろいろとハプニングもあり手探り状態ですが、モチーフがもっているらしさを新たに引き出せるよう楽しみながら作っていきたいです。
— 大量生産とは一線を画すUVインクジェット印刷ならではの作品に期待しています!
全員:よろしくお願いいたします。

一覧へ戻る