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わたしたちの視点

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[PIM]田中せり「執着と、既成概念への疑い」

田中 せり(たなか せり)
アートディレクター / グラフィックデザイナー
1987年、茨城県生まれ。武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科卒業。電通4CRP局所属。企業のブランディング、CI、グラフィック、パッケージなどのデザイン、プロジェクトの企画などを手掛ける。

— 最近は主にどのようなお仕事をされていますか?
田中:「飲める文庫」という小説の読後感を味わえる珈琲や、「あの頃はチョコレート」という時代のムードを味わえるチョコレートなど、NECさんのAI技術を使った商品開発の企画とグラフィックデザイン。栃木の日本酒、仙禽のCIやラベルデザイン。MITSUFUJIという企業と、1人1人の心電図をビジュアルアイデンティティ化するプロジェクト。広告ですと英会話のGabaなどのお仕事を担当しています。


「飲める文庫」やなか珈琲&NEC


「あの頃はCHOCOLATE」Dandelion Chocolate&NEC


日本酒 仙禽のCI /「UI」仙禽

— PAPER&INKJET MANIAというグループ名は、どのようにして生まれたのですか?
田中:好きで仕方がないことを突き詰めている人が結局一番強い、そういう(ちょっと変態的なくらいの)人が集まるコミュニティになるといいなと思い「マニア」という言葉をあげました。実際この言葉をかかげたことによって、普段の失敗できないクライアントさんありきのお仕事とは違い、うまくいくかまだわからないけど面白くなる予感のする何かに向かって試行錯誤を繰り返し挑戦するモチベーションの場となれた気がします。迷った時は自分が興奮する方を信じればいいか、みたいな。
— UVインクジェットについてどのようなイメージを持たれていますか?
田中:少部数からトライができるので、デザイナーとしてはありがたい存在。印刷できるマテリアルの対象が広いのも印刷業界の領域を広げる期待の星、というイメージ。一方で、印刷対象物のテクスチャを潰しすぎないインクや、匂いをおさえたインクの開発が進むともっと可能性が広がるのではないかと思います。
— 紙の良い所はどこですか?
田中:何にでもなれるところ。というのも幼少期、遊ぶアイテムはたいてい「作ればいいか!」と紙で手作りしていました。たぶん遊ぶことが目的なのではなく、作ることが目的だったのかも。紙で作った洋服、プレゼント、仕掛け絵本など、、紙は想像力を与えてくれるアイテムなんじゃないかなと。
— 展示会の注目ポイントは?
田中:3人3様のマニア=執着と、既成概念への疑い=着眼点と挑戦です。私の作品は、人と機械によるコントロールから解放され自由に舞ったインクの粒たちを肉眼で見ていただきたいです。やはり自然現象には勝てないなあと痛感しました。
— 自然現象や偶然などを見逃さない感覚は私達も見習いたいと思います。作品の仕上がりが楽しみです。
田中:よろしくお願いします。

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